「有珠噴火、終息の可能性」予知連が統一見解

気象庁は、今回の噴火を「平成12年(二○○○年)」有珠山噴火と命名

 22日、有珠山の噴火活動について、火山噴火予知連絡会は、
東京の気象庁で開いた会合後の記者会見で、
「マグマ活動は低下しており、このままの傾向が続けば噴火が
終息に向かう可能性がある」
との統一見解を発
表した。今回の噴火で予知連が、
条件付きながら「終息」を明言
したのは初めて。

 予知連は活動低下の根拠として、爆発の強さや頻度、噴煙量が
低下していること、噴出物に噴火直後に見られたマグマ物質が見
つかっていないなどの点を挙げた。今後、大きな噴火に発展する
可能性は「否定しきれない」が、その場合でも事前に地殻変動や
噴煙などの変化をとらえられる可能性が高い、としている。

 今回の噴火で新たな火口ができた、北西山ろくを中心とした隆起
はこれまでで六十m、四千万立方m(前回の1977年噴火の約半分)
程度とみられる。ただ、3月31日の噴火直後には一日五mあった隆
起の速さが、現在は1日10cmほどに落ちている。

 井田会長は「過去の噴火では、隆起速度は一、二年かけて減って
いった。今回の噴火は、隆起速度の減少が早いのが特徴」と説明。
また、予知連有珠山部会長の岡田弘・北大教授も「3月31日の噴火
後、4月3日ごろまでは(噴出物に)マグマ物質が入っていたが、その
後はほとんどなく、水蒸気爆発を繰り返している」と活動の低下を裏付
ける根拠を示した。

 一方で予知連は、噴火が依然として継続していることから、マグマと地
下水の接触などによって、北西部と金比羅山の活動火口周辺に影響が
及ぶ規模の新たな爆発の可能性は当分続くと見ている。その可能性の
見極めについては、順調なら一カ月程度後に予知連として明らかにする
方針。