壮瞥町で、宇井・岡田両教授による、
説明会がありました

その3

(5/6 壮瞥町公民館にて)

2000年 有珠山噴火の活動現状報告

北大 宇井 忠英 岡田  弘

説明会に行った「お助け隊員 加藤さん」の報告

ということで、以下に壮瞥で行われた現況報告会の報告をします。全体的な報
告については丁稚殿およびでっち3から別途報告があるかと思うので、私なりの
観点で報告します。


 案件 火山活動に関する現況報告会
 講師 北海道大学 宇井忠英 教授
          岡田 弘 教授
 日時 平成12年5月6日(土)18:00〜19:30
 場所 壮瞥町公民館大会議室

 概要 宇井教授および岡田教授による有珠山火山活動の現状に関する報告と、
    住民からの質疑応答および壮瞥町長のプレス会見があった。
    内容については別途報告を参照されたし。    

 かとうの視点&感想

(1) 教授の基本姿勢
 両教授とも客観的分析および主観的見解について、非常に素直に述べているよ
うに思えた。洞爺湖温泉の居住不能区域の住民(宇井教授の回答に対するリアク
ションから明らかにそう思われた)からの「家に戻れるのか?」という質問に対
し「火口にごく近いところは居住不可能」と答え、さらにそれに続けて次節の発
言をするなど、その姿勢には感動すら覚えた。

(2) 宇井教授の復興に対するスタンス
 「日本の復興は“現状復帰”がメインだが、そうではなく“次の災害に備えた
まちづくり”や“今回の噴火を利用した経済復興”が必要だ」という発言があっ
た。経済復興については「虻田温泉の開発」や「使用不能になった公共建築物の
モニュメント化」「今回の噴火は天からの贈り物(会場からは失笑)」という表
現を用いて提言していた。

# キャッチ的にいくと「現状復帰型」ではなく「改良型」「活用(活力)型」
#の復興を! ってなとこでしょうか。

(3) 現状および当面の復興について
 上記は、噴火活動休止後・数年〜数十年スパンのいわゆる災害後復興を念頭に
したものであるが、今後長期化するであろう現状においての考えについて、宇井
教授に直接伺ったところ、以下のようなコメントを頂けた。
 「今後の復興時の活力が失われない様に、行政やボランティア等が協力して、
  きめ細やかな対応を行っていくことが必要」
 「例えば洞爺湖温泉祭りについても場所を移して開催するなど、やり方はいろ
  いろある」

# どこかで同じような話を聞いたことがあるような...

(4) これに対する行政の対応
 最後に行われた町長の記者会見では、上記の意見に対する行政の対応について
「一つの提案として今後住民と一緒に考えていきたい。また二市四町として北海
道開発庁長官にも申し入れした」という返事をしていた。
 ただし、恐らくこれは災害後復興しかイメージしておらず、今どうするかにつ
いてという点までは至っていないように感じた。

# 「今に対応するには?」という突っ込みをしたかったんですが...

村上君(工大生)の感想

本日の報告

率直な感想として、よくわかりませんでした。
でも、これはさっき隊長に報告したときにお二人が言ったことなのですが、最悪のパターンに陥ったとしても、生きてりゃなんとかなるというとことんプラス思考を貫いていこう、ということを二人の教授はいいたかったのではないかと自分は思いました。

有珠山噴火のことはまるで無知だったので、少しでも勉強していればもっと理解、収穫があったとかなり後悔しています。でも、1日で隆起が10m強というのがいかにすごいかはわかる気がします。この手伝い(パシリ)をするからにはもっと勉強する必要があると痛感しましたね。

お助け隊 後藤の感想

今回の説明会の本質はどこにあるかを簡単に整理します

有珠山の状況の本質

1 噴火活動はまだ終わっていない
2 西山(とその周囲)方面での活動が主体である
3 現在の状況はあくまで起承転結で言えば「承」が終わったばかりである

有珠山をとりまく地域やその他への進言としての本質

1 今ある状況を最大限生かして、火山と共生する道を模索するべき
2 マスコミはきちんと報道してくれない
3 行政には、柔軟な対応をお願いしたい

というような事ではないかと思う。

正直なところ、あれほどきっぱり、そして知りたいことを話してくれるとは思わなかった。
もう少し学術用語連発のわけのわからない話を聞かされると思っていたので、意外だった
両教授とも、地元に生き、地元のためになる研究を行っているのだと、肌で感じた。
「災害に役立たない研究は研究ではない」だっただろうか。彼らの言葉は、「地域の」「地域による」「地域のための」研究からなる言葉だと思う。

この動きから、経済活動や住民の意識を含めた総合的な「火山社会学」とでも言えばいいのだろうか?そのようなものに発達していけば、より良い方向性が見えるものと思う。

また、現状報告からも分かるように、噴火活動はまだ第1ステージを終えたに過ぎない。今後どのような活動を起こすかは想像の範疇に過ぎず、まだ予断は許さない状況である。

両教授とも、このような報告会を望んでいる模様。
機会があれば、また行っていただきたいと切に希望します。